てとやらま

2009年06月13日 ストラコウスキーの森

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ディマから「quick intro」というタイトルでメールが来たのは去年の11月だった。
日本に今年の567月あたりに来る予定で、ウェブでテトラのページを見てメールをくれたんだった。
「こんな場所を見つけられるなんてなんて幸運なんだ!」
と、おおげさにいったらそんな感じで、すごく興奮ぎみで喜んでいたのをよく覚えているし、
下見にきたときも「すごくいいですねーいいですねー」と言っていた。
テトラが美術の人だけでなくて、様々な人でやっている場所だ というのにも、
すごく大事なことだと言ってくれた。

そこからメールのやりとりをはじめて、テトラでは2つのパフォーマンスをすることになった。
「Top ten Asian Brand」と、「as if a forest」というパフォーマンス。
Top ten~のほうは、スーツに身を包んだディマが、トゥバという、チベット仏教の読経の声のような、ホーメイにも似た声で、
市場経済調査からぬきだしてきたアジアのブランドのトップ10を朗々と(?)読み上げる。
最初ははっきりと、その次は、一語一語延ばすようにして。

そしてもう一つのas if a forestは、ステップ1−10に従って、様々な声の録音を重ねていき、
最後にはまるで森の中にいるかのような音ができあがる。全部声だけでやってるのに、だ。
テトラにはスピーカーが1組しかないので、今回はそれでしてもらったが、
本来なら、4チャンネルは欲しいところで、それでお客さんを囲めるから、
出演者と客、あるいは舞台と客席、みたく別れなくって、
同じ場所で体感することができるんだろう。
このパフォーマンスにおいてはディマは作家と言うよりかはナビゲーターの位置にいるのだろう。


ディマ・ストラコウスキーは非常に愛嬌のある、おしゃべりな人で、流暢な日本語を話すけど、
間違ったら照れて「ごめんなさいねー」と言った。
そういう仕草にとても人柄が現れていて、最後のトークは彼の人柄と、
あと途中で出て来た彼の幼い子供たちや、「(日本語むずかしいから)助けてー」という彼の会話を訳す奥さんなどもあいまって、
なんだか不思議な空間だったな。

生まれはロシアだけど、見かけは白人で、やっぱり西洋人で、
そういう人が、トゥバで、かつアジアの会社の名前を言っている。
ある人はそれを、そのイメージを無効化していると言った。
はじめに出たソニーという言葉。
でも次に一語一語引き延ばされて出るとき、それは 「そ に い」 という、全く別の言葉になっている。
ソニー=高性能 みたいなイメージの連鎖はそこでは断ち切られる。

彼、というより西洋人の中には、西洋=物質世界 東洋=精神世界というイメージが強くある。
そこで、西洋人である自分が、経済の象徴であるサラリーマンの格好をして、
だけど精神世界を象徴するトゥバで、しかし、精神世界であるはずの東洋の成功している企業の名前を繰り返す。
そこに妙なズレが生じる。

そのズレだとか、妙なギャップ。
あるブランド名を聞いたときに、反射のように頭に思い浮かぶイメージ(たとえばコーラ=赤い)。
そのイメージの浮かぶスピードを緩めたいんだと、ディマは言う。
スピードを緩める、間を作る。そうすればそこに、考えたり、創造したりするための余地が生まれる。
「じゃあ何を考えてもらいたいの?」とお客さんが聞いたけど、それは人それぞれでいい。
余地を作ること、そうするとそこに会話も生まれる。
あなたは何を考えましたか、とといたい。そうやって会話をしていきたい。
「そういう、スピードを遅くしたり、間をつくるということが、アートにできることだと思うんだ。」


終わった後、皆でラーメンを食べて、ディマは「keep in touch」といって帰っていった。もちろん!


海外から来る人は、できるだけ受け入れるようにはしている。
もちろん、内容とか、真剣さとか、いろいろ あって
話がうまくいかないときもあるし、これまでも何度かあった。
ディマの場合は、何よりも日本の作家と話したいと言っていて、そのためにフライヤーをつくって、
メルマガと、あと個人的に知っている人にメールでお知らせしたりもした。
入場料も、二人でちゃんと話しあって、よりたくさんの人が来てくれるようにと、あの値段で設定したんだけど、
思っていたより人が来なくて残念。
でも熱心に質問してくれた人や、終わってから個人的に話しかけにいってくれた人、
フライヤーを見てきたという、あまりお客さんとしては見慣れない人などがいて、(つまり、新しくきてくれた人!)
それはすごく嬉しかった。


Keep in touch!




ストラコウスキーの森

期日…2009年6月13日(土)
期日…19:00 open / 19:30 start
料金…500円(1ドリンク付き)
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アメリカを中心に活動するメディア・アーティスト、ディマ・ストラコウスキーの2つのサウンド・パフォーマンス。

Dmitry (Dima) Strakovsky
サンクトペテルブルク出身。シカゴ美術館附属美術大学(SAIC)にて、芸術学修士取得。その後、数年間シカゴに滞在し、いくつかの企業でおもちゃ開発に携わりながら、作品発表を行い、2006年に、ケンタッキー大学のニューメディア専攻助教授となる。
ロボット/キネティック・インスタレーション、サウンド・アート、ビデオ・パフォーマンス、デジタル印刷等の多岐に渡るメディアを用い、これまでに、アメリカ国内、国外の様々な場所で、展示を行っている(「シーグラフ2001」、シカゴ現代美術館、gallery J2 (東京)等々)。
http://www.shiftingplanes.org/
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by tetoyarama | 2009-06-13 00:00 | tetra
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