てとやらま

2009年02月20日 梅田哲也ソロライブ「 :Interlude: 」

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こんな濃密なライブは初めて見た。
始まる前から会場はお客さんは、耳をすますような雰囲気で、会場の空気がいつもよりももっと、重たくなった。(暗いとか深刻だとかいう意味でなくてね。)

梅田さん自作の楽器や、竹やピアノ線や、様々なツールからつくりだされる現象やその動きが、その空気を次第に凝らせて、目に見える形にしていくような錯覚に陥る。フィードバック音が、竹が床のタイルをたたく音で一瞬かき消える。そして次の瞬間にはまた頭をもたげるように、音が盛り上がる。

全く言葉にできないけど、この人の演奏を聴くようになってから、私はかなり耳がよくなったと自分で思っている。よくなったというか、耳が開いたように思う。色々な これまで意識すらしていなかった音が、聴こえるようになった。それはライブ中だけではなくて、日常生活でもそう。
たとえばストーブの上で沸騰するヤカンの音とか、どこかを流れる水の音とか、土鍋で炊くお米のうまい具合に炊けた音とか・・
たくさんのものを意識するようになると、驚くべきことに、本当に見えていた景色すら違ってくる。
今日のライブはテトラの中の音だったし、会場の息を潜めて聞くような空気もあるし、たぶんトラックの音などもしなかった。だからテトラの中の音をかきまぜている感じだった。
けれど、たとえば6月の熊本での問屋街でのライブなんかでは
演奏を見て、音源を探して目で追っているうちに(音は壁にあたって方々にちっていくので)、次第に道路で遊ぶ子供たちの声や、客のざわめきや、排水用の管を通る水の音やそれがしたたる音なんかも、ざわざわとまるでライブ演奏の一部のようにきこえてきて、そうするとこれまでも変わらず降り注いでいたはずの日の光も、それまでよりも明るくやわらかに降り注ぐように 見えたのであった。
それは もともと自分が持っている「聴く」ということに、再度気づかせることなんだろうと思う。
それは同時に、自分が今ここに 確かにいるんだということを、再認識するための、一つの手段となる。
と、なんだか話がともすれば非常に曖昧なものになっていきがちですが、遠藤水城が水戸のクリテリウムの展示についてのレビューで美術手帖に書いていた、「自然そのものに向かおうとしているのではないか」という文章を、そういう意味をもって自分は読んだ。
何かが新しくそこにあるわけではなくて、既にそこにあって、自分達がいまそのなかに居る「はず」の、でも気づいていない 気づけない 見えていないものを 捉え返すこと。


はじめて見たのはテトラでの梅田さん自身の個展「静かぬ」でのプレビュー&ライブだったけど、
そのときも、音が見えるような気すらして、こんなものは初めて見たと、興奮気味に六本松あたりまで走って帰ったのを覚えている。
その時の自分の日記には「梅田哲也は魔術師だ!」とでかでかと書いてあった。これには我ながら苦笑ですが。
魔術師はともかくとして、その演奏は本当に、その場だけでしか体感できないので
機会があったら行ってみてほしいなと思う。

ソロで来ていただいてありがたかったです。なにより私がソロ演奏を聞きたかったので、お呼び立てする感じになりました。

作品へのコメントなども、いただきました。


* * * * * *
この梅田哲也さんのライブ映像や作品映像、梅田さん自身が撮ったショートフィルムの断片などをカットアップした映像作品を現在製作中。監督・編集は渡邉寿岳。夏までには DVDになって見ることができると思います。


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イベント名は 迷ったすえ「interlude」。
ソロのワンマンなので、つけなくてもよかったのですが、この言葉が気になっていたのと、
音について考えていたら、頭から離れなくなったので。
インタールード  

まくま 



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近年、音楽・美術の枠をこえて目覚ましい活躍をみせる作家・梅田哲也。
廃材や自作ツールを使用した作品や、それによってつくりだされるサウンドインスタレーションやインプロヴィゼーションのパフォーマンスは、常に会場となる空間のキャラクターに焦点をあて、そこに響く音や空間それ自体と対話しながらすすめられる。
生起する現象と、それによって引き起こされる純粋な音、そのもの。それらをその場でつなぎ、変形させ、空間に充たし、かきまぜる。
観客は作家とともにその現象を目撃し、目で耳で追う内に、今迄に聞いたことのないような音を、見ることができるかもしれない。まるで一度降りた幕が、また一つ一つあがっていくのを見るかのように、閉じた聴覚が広がっていくのを感じるだろう。今日と明日、今とかつて。二つの幕をすぎれば、聴こえる音が変われば、目に映る世界は全く変わっていく。

演奏はそのとき、その場所での一度限り。
今回はどんな音が見られるだろうか。
Interlude 幕と幕とをつなぐ
現象のその音を聞け



梅田哲也 solo Live 「 :Interlude: 」

日時:2月20日 開演:20時
料金:1000円+1ドリンクオーダー
会場:art space tetra (福岡市博多区須崎町2−15/info@as-tetra.info)

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梅田哲也  tetsuya umeda

大阪在住。ライブイベントを拠点に現象としての音の動きや立体感に対するアプローチを続けながら、廃材や自作ツールを使用した作品を多数制作。場所や空間のキャラクターに焦点を当てたサウンドインスタレーション、インプロヴィゼーションのパフォーマンスを各地で展開している。「Festival Beyond Innocence」(2002-2007/大阪)や「INSTAL」(2006/スコットランド)などの音楽フェスティバル、「Sound Art Lab」(2005/大阪)、「the listening project」(2006/ロンドン)、「waitool sounds」(2007/サンフランシスコ)、「Sound Effect Seoul」(2007/ソウル)、「Blurrr」(2007/テルアビブ)、「DENSITE」(2008/フランス)など展覧会やイベントに多数参加。2006年にはCD 『ocket』(improvised music from japan)もリリースしている。
http://www.siranami.com/
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by tetoyarama | 2009-02-20 00:00 | tetra
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