18時発のバスで東京へ。
バスのなかで詩集、カルデサックを読む。 虫になったり、眼球をさわる男を見ていたとおもったらたちまちその場所は「わたし」に奪われていて、 母の顔を凝視する一方で視界は一気にうしろの緑へと飛んで行く。一気に。時間をかけ。駆け?かけ。 真ん中を常に探してしまうという話を思い出し、カメラを首にかけ直す男に、触った場所のしっくりとしない感じに耐えられずにもやもやと、何度も何度もおなじ場所を(しかし誰にも悟られないように)触り直してしまうかつての自分が重なった。その癖は今は 手を意味不明にぐやぐやさせる癖へとつながっている。嗚呼。 鳩や蛾や、わたしだと思ったらお客で、視界はぐるぐるとまわる だがこれは全て わたしの思考のひろがりにすぎない。とんでいく視界は全て私のものだ。 視点と思考の広がりと狭さ。 その距離の拡縮 最後の言葉に息をのむ。 10時をまわり消灯されたバスの中は、目を開けているのかいないのか分からなくなるように暗く、 時おりカーテンのすきまがつくる帯が天井に延びるのを数えた。 ある本を読むタイミングって確実にあって この本については私はそのタイミングを はっきりと まちがいなく 一分の狂いもなく つかんだのだと思う。 どんな人にも そういうタイミングはあるはずで そういった出会いは何よりも得難く変えがたいなと 思った。 たぶんこの本を旅行の行きのバスで読み、最後の言葉を何度も何度も読み、しかし帰りにはその本はもう別の、とても大切な人のものになっていた。 その流れもまさに だ。 感謝したい * * * * * 尾中俊介詩集 「CUL-DE-SAC カルデサック」 発行 みぞめ書堂
by tetoyarama
| 2009-04-24 00:00
| oyama
|
カテゴリ
全体tetra oyama 3150 以前の記事
2012年 12月2012年 01月 2011年 11月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 03月 2008年 02月 2007年 05月 検索
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||