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てとやらま

2009年04月24日 CUL-DE-SAC

18時発のバスで東京へ。
バスのなかで詩集、カルデサックを読む。

虫になったり、眼球をさわる男を見ていたとおもったらたちまちその場所は「わたし」に奪われていて、
母の顔を凝視する一方で視界は一気にうしろの緑へと飛んで行く。一気に。時間をかけ。駆け?かけ。
真ん中を常に探してしまうという話を思い出し、カメラを首にかけ直す男に、触った場所のしっくりとしない感じに耐えられずにもやもやと、何度も何度もおなじ場所を(しかし誰にも悟られないように)触り直してしまうかつての自分が重なった。その癖は今は 手を意味不明にぐやぐやさせる癖へとつながっている。嗚呼。
鳩や蛾や、わたしだと思ったらお客で、視界はぐるぐるとまわる
だがこれは全て わたしの思考のひろがりにすぎない。とんでいく視界は全て私のものだ。
視点と思考の広がりと狭さ。
その距離の拡縮
最後の言葉に息をのむ。


10時をまわり消灯されたバスの中は、目を開けているのかいないのか分からなくなるように暗く、
時おりカーテンのすきまがつくる帯が天井に延びるのを数えた。

ある本を読むタイミングって確実にあって
この本については私はそのタイミングを  はっきりと  まちがいなく  一分の狂いもなく 
つかんだのだと思う。
どんな人にも そういうタイミングはあるはずで
そういった出会いは何よりも得難く変えがたいなと 思った。
たぶんこの本を旅行の行きのバスで読み、最後の言葉を何度も何度も読み、しかし帰りにはその本はもう別の、とても大切な人のものになっていた。
その流れもまさに だ。


感謝したい


* * * * *
尾中俊介詩集
「CUL-DE-SAC カルデサック」
発行 みぞめ書堂
by tetoyarama | 2009-04-24 00:00 | oyama
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