![]() ディマから「quick intro」というタイトルでメールが来たのは去年の11月だった。 日本に今年の567月あたりに来る予定で、ウェブでテトラのページを見てメールをくれたんだった。 「こんな場所を見つけられるなんてなんて幸運なんだ!」 と、おおげさにいったらそんな感じで、すごく興奮ぎみで喜んでいたのをよく覚えているし、 下見にきたときも「すごくいいですねーいいですねー」と言っていた。 テトラが美術の人だけでなくて、様々な人でやっている場所だ というのにも、 すごく大事なことだと言ってくれた。 そこからメールのやりとりをはじめて、テトラでは2つのパフォーマンスをすることになった。 「Top ten Asian Brand」と、「as if a forest」というパフォーマンス。 Top ten~のほうは、スーツに身を包んだディマが、トゥバという、チベット仏教の読経の声のような、ホーメイにも似た声で、 市場経済調査からぬきだしてきたアジアのブランドのトップ10を朗々と(?)読み上げる。 最初ははっきりと、その次は、一語一語延ばすようにして。 そしてもう一つのas if a forestは、ステップ1−10に従って、様々な声の録音を重ねていき、 最後にはまるで森の中にいるかのような音ができあがる。全部声だけでやってるのに、だ。 テトラにはスピーカーが1組しかないので、今回はそれでしてもらったが、 本来なら、4チャンネルは欲しいところで、それでお客さんを囲めるから、 出演者と客、あるいは舞台と客席、みたく別れなくって、 同じ場所で体感することができるんだろう。 このパフォーマンスにおいてはディマは作家と言うよりかはナビゲーターの位置にいるのだろう。 ディマ・ストラコウスキーは非常に愛嬌のある、おしゃべりな人で、流暢な日本語を話すけど、 間違ったら照れて「ごめんなさいねー」と言った。 そういう仕草にとても人柄が現れていて、最後のトークは彼の人柄と、 あと途中で出て来た彼の幼い子供たちや、「(日本語むずかしいから)助けてー」という彼の会話を訳す奥さんなどもあいまって、 なんだか不思議な空間だったな。 生まれはロシアだけど、見かけは白人で、やっぱり西洋人で、 そういう人が、トゥバで、かつアジアの会社の名前を言っている。 ある人はそれを、そのイメージを無効化していると言った。 はじめに出たソニーという言葉。 でも次に一語一語引き延ばされて出るとき、それは 「そ に い」 という、全く別の言葉になっている。 ソニー=高性能 みたいなイメージの連鎖はそこでは断ち切られる。 彼、というより西洋人の中には、西洋=物質世界 東洋=精神世界というイメージが強くある。 そこで、西洋人である自分が、経済の象徴であるサラリーマンの格好をして、 だけど精神世界を象徴するトゥバで、しかし、精神世界であるはずの東洋の成功している企業の名前を繰り返す。 そこに妙なズレが生じる。 そのズレだとか、妙なギャップ。 あるブランド名を聞いたときに、反射のように頭に思い浮かぶイメージ(たとえばコーラ=赤い)。 そのイメージの浮かぶスピードを緩めたいんだと、ディマは言う。 スピードを緩める、間を作る。そうすればそこに、考えたり、創造したりするための余地が生まれる。 「じゃあ何を考えてもらいたいの?」とお客さんが聞いたけど、それは人それぞれでいい。 余地を作ること、そうするとそこに会話も生まれる。 あなたは何を考えましたか、とといたい。そうやって会話をしていきたい。 「そういう、スピードを遅くしたり、間をつくるということが、アートにできることだと思うんだ。」 終わった後、皆でラーメンを食べて、ディマは「keep in touch」といって帰っていった。もちろん! 海外から来る人は、できるだけ受け入れるようにはしている。 もちろん、内容とか、真剣さとか、いろいろ あって 話がうまくいかないときもあるし、これまでも何度かあった。 ディマの場合は、何よりも日本の作家と話したいと言っていて、そのためにフライヤーをつくって、 メルマガと、あと個人的に知っている人にメールでお知らせしたりもした。 入場料も、二人でちゃんと話しあって、よりたくさんの人が来てくれるようにと、あの値段で設定したんだけど、 思っていたより人が来なくて残念。 でも熱心に質問してくれた人や、終わってから個人的に話しかけにいってくれた人、 フライヤーを見てきたという、あまりお客さんとしては見慣れない人などがいて、(つまり、新しくきてくれた人!) それはすごく嬉しかった。 Keep in touch! ストラコウスキーの森 期日…2009年6月13日(土) 期日…19:00 open / 19:30 start 料金…500円(1ドリンク付き) ![]() アメリカを中心に活動するメディア・アーティスト、ディマ・ストラコウスキーの2つのサウンド・パフォーマンス。 Dmitry (Dima) Strakovsky サンクトペテルブルク出身。シカゴ美術館附属美術大学(SAIC)にて、芸術学修士取得。その後、数年間シカゴに滞在し、いくつかの企業でおもちゃ開発に携わりながら、作品発表を行い、2006年に、ケンタッキー大学のニューメディア専攻助教授となる。 ロボット/キネティック・インスタレーション、サウンド・アート、ビデオ・パフォーマンス、デジタル印刷等の多岐に渡るメディアを用い、これまでに、アメリカ国内、国外の様々な場所で、展示を行っている(「シーグラフ2001」、シカゴ現代美術館、gallery J2 (東京)等々)。 http://www.shiftingplanes.org/
by tetoyarama
| 2009-06-13 00:00
| tetra
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