![]() 長崎五島列島の一角に、無人島がある。 野崎島。 一人の住人もいなくなり、本当の意味で無人島になったのはつい2001年のこと。 しかし 住人が移住しはじめ、本格的に無人化しだしたのは、もう40年ほど前のことらしい。 でも、40年って結構最近だよな。 北と南で神道とキリスト教に集落が分かれているものの、 敬虔なキリシタンの多かったこの島では、 住人が農業と漁業を中心とした自給自足の共同生活をおくっていたそうだ。 しかしやはり文明と金の感覚は入ってくる。 共同生活でやってきたものは、共同生活でしか生きていけない。 故に 人々が島を出るのも、集落単位だったという。 一番最後まで人がいた北の集落には ついぞ電気が通ることがなかったそうだ。 ![]() そんな島で、音楽イベントがあったので行ってきた。 基本的にはDJイベントというか いろいろな人がいた。バンドは少ない。 主催は たちばなさんという、本業はお坊さんなのだが、タラパニという長崎の山の中にあるカフェのオーナーだったり、 音楽イベントを多数企画している。 ![]() 今回のイベントは、定員が120人だった。 はじめこれはフェリーに乗れる人数なんだと 友人に聞いていたのだけど 実際には違った。 会場となる野崎島は今は国立公園となり、NPOが管理をしている。 廃校を利用したキャンプ場のようなところがあって 今回もそこが会場なのだが やはり浄化施設など整備してある。 その浄化施設のキャパが120人で、 それ以上になると キャパをこえるため、浄化しきれなくなり、 島の生態系に害を及ぼす可能性があるそうだ。 だから 120人。 それを聞いて、 まあ場所からしてそうなのだが だたの音楽イベントではないというか これはいかなければと 思った。 福岡博多港から23時30分のフェリー太古で出発。 朝4時半着 小値賀(おぢか)島へ到着。 このフェリー太古がなんだかすごく丁寧な対応で、 人がその日はとくに多く、部屋に入りきれなかったとかで 乗員の方が来る人来る人「何名様ですか?」と場所を探し、申し訳ないですが・・ここでおねがいします と人数分のゴザをひいてくれた。 こういう船って だいたい適当につめて乗ってください という感じだとばかり思っていたので驚いた。 乗っている時間が長いからだろうか。 こんな大きなフェリーに乗るのは 小学校へあがる前に奄美へ引っ越した、あの時以来。どこも螺旋階段に赤い絨毯。 小値賀島から7時半発の船で野崎島へ 小値賀の港には、なぜだかは分からないが巨大な万華鏡があって、面白かった。 島の港で船を待っていると、まだ7時前だというのにおばちゃんたちがわいわいと歩いてくる。 港の朝市だ。 といっても魚ではなくて、おばちゃんたちが作っている野菜だとか漬け物だとかを持ち寄ってる感じ。 ちょうど ところてんの販売もしていて、 おばちゃんが豪快におわんについで振る舞っていた。 どうやら試食販売らしいけど、試食の域をこえてる。 「おかわりいらんね?」とまで。 はあ いただきます。 ところてんは手作りで、香りが強くておいしかった。 ![]() 誰もいなくなったこの島。 今は何十年も前に、村人たちが力をあわせて建てたという教会だけが 丘の上にたたずむ。 段々畑は 鹿のおかげか草も茂らずにあって 明るいけど人の気配のない コントラストの強い島だった。 海があり山があり、教会や丘や 崩れそうになった家や段々畑や。 確実に人のにおいはするのに、人の気配はない。 そして鹿がいる。 なんだかよく分からない気分になって 映画の中に迷い込んだ気がした。 ![]() 北にいくと神道の集落(もちろん今は誰もいない)があり 巨石の重なる神社「王位石(おえいし)」がある。1300年前にたてられたそうだ。 絶対行こうと思っていたんだけど 15時ごろ出発しようとしたら 何を勘違いしたか往復3時間と思っていたら 実は往復5時間はかかるし マムシは出るし獣道だし 山ヒルがいるし 今からだと絶対いかん といわれ 断念。 また 来たい。 造山活動によってできたのか よくわからないが 信じられないほど大きな岩が まるで鳥居のように積み重なっているらしい。 いちばん上にのっている岩は8畳くらいの広さがあって 昔はその上で神楽が舞われたとか。 ![]() 海があり、山があり、鹿がいて、 実際に島にいたのは 2・3と4の朝8時まで なのにすごく長いこと居たような気がする。 2日着いた日は そもそも朝4時についたので一日がいつもより長いのはあたりまえなんだけど、それを差し引いても いつまでたっても昼は昼のままで、 一緒に来た人たちと まだ昼か まだ昼か と何度もつぶやいていた。 時間の感覚がおかしい。 これはばーちゃんちに行ったときよりも 長いぞ。 夕方海に入り、戻り、また海に入り。 お昼寝。 夜になってライブがはじまる。 とにかく星の数がものすごくて 一人でねっころがって星をみながら 音を聞くともなしに聞き 堪能しました。 こういう星空をみていると ほんとに星座が見えてくる。昔の人はこんな星空をいつも見ていたんだろうか。 流れ星もたくさん見た。 その日は夜中まで音がなっていたが、 星を見ながらいつのまにか寝ていたらしく、一緒に行ったのんちゃんが起こしにきてくれた。 のんちゃんは ムサビ映像課の学生で、島にもカメラを持ってきて ちょこちょこ撮影していた。 ![]() 次の日 朝8時の船で帰る人を見送ってから またライブが。 この日は風が強く天気もよくて すごくゆるく 自由に楽しむイベントでした。 もうなんか ゆるゆると 過不足なく。 十全というか。なんつーか。 こんなに自由なとこってなかなかない。 ![]() 昼すぎて ライブ中激しい雨がふったけど それもすぐ霧雨になり、そのうち止んで再会。 最後長崎のバンドでおわり。 みんなで片付けて 4時の船で帰る人を見送ってから (私は出展していたnoconico夫妻と一緒に翌日に帰るため、この日もとまっていた) ゆっくりとした時間をすごす。 校庭でお酒を飲みながら 暮れていく教会を見る。今日は雲が多い。風が強い。髪が大分のびた。 たちばなさんと少し話す。次回は王位石ツアーをしなければ。 夜は雲が多くて、星は見えなかった。 ++++ 朝8時の船にのる前に 早めに出て一人でビデオ片手に散策。 その直前と途中に激しい雨がふって、向こうの岬が霧で霞んで 美しい。島だなー 前日にしょう子さんと どうせだからいろんな天気が見たいなんて話をしていたので なんとなくラッキーだった。 雨が降ると一気に空気が濃くなる。 鹿が前をよこぎり、 横切ったと思ったらしばらく離れたところで ふりかえってこちらを見ている。 あるものは体ごと向き直って。あるものは首だけ後ろに振り返るようにして。 どの鹿も 群れであっても同じで みんな無表情でこちらをじーっとじーっと つくりものかと思うくらい微動だにせず見ていて 鹿って怖いなと思った。 「誰だあいつ 何用だ。」みたいな目で見てくる。 つくりもののように見えてきて、動きを確かめようと、わざと横飛びを。 すると首だけヌイっと動かして顔はやはり無表情。手強い・・・。 この旅行でのこにこ夫妻とずっと一緒 帰りのフェリーも一緒で いろいろ話ができた。 こうやって普段なかなかゆっくり話す機会のない人と じっくり話ができたり いろんな面が見えたりするのが こういうイベントの醍醐味でもあるねなんて話をしていた。 小値賀を観光 おばあちゃんの手作り蒲鉾の店や かき氷のおいしい店 天然記念物の ポッドホールなどを見て 11時のフェリーに乗って福岡まで帰ってきました。 いろんな場所がある。
by tetoyarama
| 2008-08-06 01:22
| oyama
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